ムンプス難聴
ムンプス難聴の原因について
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ:ムンプス)の原因となるムンプスウィルスは、まれに内耳にも感染し急性発症する難聴を起こすことがあり、これをムンプス難聴といいます。
ほとんどが一側耳に起こりますが、難聴は高度で難治性です。流行性耳下腺炎の好発年齢は2歳~15歳で、発熱と両側の耳下腺がおたふくの様に腫れますが、0.2~1.1%の確率でムンプス難聴が発症します。
内耳の有毛細胞が障害を受けます。
難聴の発生は、耳下腺の腫れの強さとは無関係で、耳下腺が腫れない不顕性感染でも難聴が発生することがあります。
ムンプス難聴の症状について
発熱と両側耳下腺腫脹の後18日以内に、一側の耳が突然で高度の難聴になります。耳鳴りやめまいを伴うこともあります。
症状を適切に訴えられない幼少児では、難聴が見逃されている場合もあり、ムンプス難聴は子供時代に、いつの間にか聴力を失っている主要な原因の一つです。
ムンプス難聴の治療法について
ムンプスウィルスに対する特効薬はありませんし、引き起こされたムンプス難聴にも有効な治療法がありません。
ムンプス難聴では、少ない可能性を信じてステロイドの投与を行いますが、聴力の改善はほとんど期待できないのも事実です。
ムンプス難聴は治療に抵抗しますが、残った反対の正常耳をその他の中耳疾患や騒音被爆などで悪くしないように注意することも大切です。特に10歳以下では、鼻が悪いことなどで急性中耳炎や滲出性中耳炎を起こすことがあります。
一側の耳が正常であれば、通常の社会生活には問題なく、通常の補聴器や人工内耳などは、ムンプス難聴では適応にはなりません。