内耳炎
内耳炎の原因について
「内耳」は「中耳」のさらに奥にある器官で、聴こえに関わる蝸牛と平衡感覚をつかさどる前庭や3つの半規管(三半規管)から成り、これらの中はリンパ液という液体が入っています。
内耳炎は、主に慢性中耳炎の炎症が内耳に波及して起こります。波及する経路として、正円窓と卵円窓を経由するものが多いと考えられていますが、真珠腫性中耳炎では骨を破壊して外側半規管などに内耳瘻孔をつくり、これより炎症が波及することがあります。
抗生物質の普及によって通常の中耳炎から内耳炎まで進行する例は激減しましたが、現在でも好酸球性中耳炎では内耳障害が起こることがよくあります。まれに髄膜炎から内耳道経由で感染することがあり、この場合非常に高度な難聴になります。
内耳炎の症状について
好酸球性中耳炎など慢性的炎症では徐々に感音難聴が進行しますが、慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎の急性増悪など内耳に急激な炎症が起こった場合、激しい回転性のめまい、高度難聴や耳鳴りが起こります。
内耳炎の治療法について
原因になっている細菌感染に対しては、抗生剤の投与を行い、同時に内耳の神経障害に対しては、ビタミン剤やステロイドを使用します。
基礎にある真珠腫を含めた慢性中耳炎に対しては、鼓室形成術を行い病巣を除去します。
また、内耳瘻孔があれば、破壊された骨を修復して、瘻孔を閉鎖します。